
vol.1
キュレーターの花田伸一です。
この11月より千草ホテル内の中庭とカフェ・レストランにてスタートしたアート・プロジェクトのコーディネートをしています。
これから当プロジェクトをめぐる「できごと」や「考えたこと」などを不定期に書いていこうと思います。
今回このプロジェクトを立ち上げるにあたり、ホテルとアートとをつなぐキーワードとして「ホスピタリティ」をテーマとしました。これから様々なアーティストに中庭とレストランを舞台に作品を発表してもらう予定ですが、そのつどアーティストが考えるそれぞれの「ホスピタリティ」を形にしてもらう、ということです。ご期待ください。
第一弾を飾るアーティストはLICCAさん。
LICCAさんの考えるホスピタリティとはどのようなものか。
次回はそのことについて書こうと思います。
2008.11.18 花田伸一

vol.2
キュレーターの花田伸一です。
前回から引き続き、LICCAさんの考えるホスピタリティについてのお話です。
LICCAさんはホスピタリティを巡り、ゲストとホ ストとがそれぞれ上下の関係なく対等な立場で向き合うような場をイメージしました。そしてそのヒントを日本の伝統文化「茶の湯」に探り、今回、中庭とレストランにまたがる「茶室」を作りました。
美術作品には「創造的(クリエイティヴ)」であることが求められます。「今まで見たり聞いたりしたことの無いモノやコト」を作るのが美術家の仕事です。
LICCAさんは作品発表の場である「八幡」にヒントを探りながら、今までに無い茶室を作りました。
次回この茶室のどこが「八幡」らしいのかについて書こうと思います。
2008.12.06 花田伸一
vol.3
LICCAさんは「今までに無い茶室」を考えるのに、作品発表の場である「八幡」という町名にヒントを探りました。
LICCAさんが今回作成した円形お茶室の放射状の形は「阿弥陀仏」から考え出されたものです。
千草ホテルが建っている町「八幡」の地名の由来となったのは「八幡神」であり、その「八幡神」は本地垂迹説(神仏習合思想の一つ)では「阿弥陀仏」にあたります。
神も仏もひっくるめて辻褄を合せてしまう、この神仏習合という大胆な考え方は、ひらがな・カタカナ・漢字をひっくるめた文化で暮らしてしまう日本人ならではの考え方ではないでしょうか。
この型破りな柔軟性はアーティストの創造性(クリエイティヴィティ)の原点だと思います。
2008.12.16 花田伸一
vol.4
今回LICCAさんの作品はお客さんによって色々な見方をされたと思いますが、その中でも特に私の印象に残ったのは「庭に石炭が置いてあるのは茶道がテーマだからですか?」という質問でした。「石炭」を「茶道」とをつなげて考えようとしているわけです。ふつう茶道で使うのは「木炭」ですから、「炭」つながりとはいえ「石炭」から茶道を連想する、その飛び具合がとても面白いなと思いました。
アートではこのようなジャンプのことを「美しい誤解」と言ったりします。
このお客さんがよほど深く考えたのか、たまたま誤解したのか分かりませんが、ともかく「関係なさそうなものを結びつける」ことは創造の出発点です。
子どもたちや職員のマチガイを創造の宝に代えられるかどうかはそれを見る人しだい。「それ、マチガイだけど、面白いね」と言える人が増えると、世の中がもっと楽しくなるだろうと思います。
2009.01.25 花田伸一